隠居の独り言(689)

NHK大河ドラマ天地人」の第21回のテーマは「三成の涙」だが、兼続
妻夫木聡)が生涯の友とした秀吉(笹野高史)の家臣、三成(小栗旬)は
後の関が原で家康(松方弘樹)に負けたために江戸時代には極悪人とされ
語ることさえタブーで、そのため上杉家でも兼続と三成が親しかったことは
現在でも実証するのは難しいとされる。歴史はいつも勝者の立場で語られ、
今に至るも彼の人物像は狭量な小役人のイメージがつきまとうのは哀しい。
秀吉が長浜城主になった頃、視察の帰りに喉の渇きを覚えて立ち寄った寺で
茶を所望したところ寺小姓だった三成が冷えた水から順に熱い茶へと三杯を
献じて家来に取り上げられた話は有名だが、それほど彼の気遣いが鋭かった。
秀吉の側近としての実績は目覚ましく彼は頭脳明晰、当意即妙、音吐晴朗の
三成の才能は華やかなりし太閤時代には政治・経済・人事を一手に差配した。
それだけに妬みや敵方の数も多く、三成の評価が分かれるが、豊臣の天下を
徳川を相手に命がけで守ろうとした気骨ある人なのは関が原が証明している。
その才能や環境は、兼続との共通点が多く互いに信頼を深める大きな要素で
両者はゼロからのスタート、主君からの全幅の信頼、官僚として優秀な才能、
出世への同僚の羨望と嫉妬、そして同じ年齢の似たもの同士が意気投合した
歴史の采配は後に天下大乱の基となっていく。ドラマは景勝(北村一輝)と
秀吉の会見の事は浜松の徳川家康の元にも届く。秀吉と上杉の接近を牽制する
家康は、まず上州の真田を攻略しようとする。そんな折、仙桃院高島礼子)が、
景勝の妻・菊姫比嘉愛未)が懐妊したと勘違いする出来事が起こる・・・