隠居の独り言(693)

米自動車大手GMが破綻した。一方でトヨタ、ホンダのハイブリッドカー
生産が間に合わず彼我の差は天と地だが競争社会の厳しさを痛感する思いだ。
このところスーパーやデパートでは下取りセールとかリサイクル回収とかで
古い品物を引き取る事実上の値引き合戦に余念が無い。一般サラリーマンや
個人の収入が減り購買力も萎えて不況もここまで来たかと時代の変遷を思う。
僅か数年前の好景気は何だったのだろうか。日本のGDPは15%ダウンして
失業率は5%になったという。総じて若者の苦労は大変だが定年後の年寄りは
受け取る年金の額が変わらないので物価が安くなった分実質収入が増えている。
好不況は波の如しで仕方ないが、とかく現代社会は競争無くして生きられない。
鉄鋼、繊維、電器、食品、建設、自動車、小売業等全ての業界をとってみても
競争のないところはあり得ない。世の中があれほど熱中するスポーツの世界は
まさに競争の見本で、イチロー中村俊輔石川遼浅田真央錦織圭などの
スター選手の活躍をTVのアナウンサーが絶叫するのは競争が大好きだからだ。
お笑い芸人だって明石家さんま島田紳助松本人志など稼ぎは想像を絶する。
ピラミッドの頂点は1人だが、底辺で働く無数の人たちは夢だけで散っていく。
言うまでもなく人生は競争の連続の中に生きている。孫も進学校合格を目指し
塾に通うが入学したとしても学内で科目ごとの試験の点数で優劣が判定される。
さらに成績を修めて学校を卒業したとしても希望の就職が確定されるわけでない。
小中高大と学校を進学する度に既に競争という人事の淘汰が行なわれている。
大人になって高い能力を発揮して出世する人間がいるいっぽうで、リストラで
人員整理ではじかれる人の多いのも競争社会の原理だ。孫達を塾の送り迎えを
する度に思うのは、今の公立学校の教師たちの考え方の何と無責任なことよ!
ゆとりをもってみんないい子の今の教育方針では世間の競争意識が分かるのか?
僅か30年前の東大合格者の内訳は公立高校の卒業生が80%以上を占めていた。
塾など無く公立高校の勉強を懸命に頑張りクリアした。今は2%にも満たない!
技術や数学のオリンピックも数年前は日本がダントツの優勝レベルだったのに
現在では中国、韓国、インドの若者の成長著しく日本は下位に甘んじている。
競争なくして何のための勉強なのか。文部科学省日教組の責任は大き過ぎる。