隠居の独り言(749)

NHK大河ドラマ天地人は残り三回、どの辺りで物語を終わらせるのか、興味だが、
本多政重(黄川田将也)が直江家に婿入りし名を勝吉と改めるが勝吉が心を開こうと
しないのに悩むお松(逢沢りな)を、お船常盤貴子)は時に任せればよいと励ます。
そもそも兼続(妻夫木聡)が嫡男・竹松(加藤清史郎)に家を継がせず自身の犠牲を
強いてまで直江家に本多政重を養子に迎えたのは戦後の徳川との降伏交渉の段階から、
誰が徳川家のナンバー2かを冷静に分析した結果、本多正信松山政路)に辿り着く。
かつて秀吉が盛んだった頃、三成(小栗旬)に近づき盟友を結んだが、それも三成が
秀吉の懐刀だったからで、兼続の戦略は権力者の懐にある人と親密に付き合うこと・・
実際に関が原後の各大名の処分は、家康(松方弘樹)の側近の正信の政治的な判断で
策されたもので歴史家の一致した史実となっている。その正信に接近して姻戚関係を
結ぶのは兼続の上杉の生き残りの策で、一方の正信にとっては恩を売ることによって
上杉は徳川に忠義を尽くす家になる。事実、関が原の戦後処理では家康方に味方した
伊達政宗松田龍平)や最上家は奥州の覇者の気分が強く、その押さえとして上杉を
利用するために正信と兼続の縁は強くなっていった。そのような高度な政治的戦略は
兼続とともに正信の策略家の躍如たるところだろう。ドラマの筋書きは、その年の暮、
米沢で病が流行し、お松も死病に犯され、勝吉と夫婦になれて幸せだったと言い残し
息をひきとる。子供に先立たれる兼続・お船の不幸はとどまることなく、数年後には
成長した竹松改め景明まで亡くし、子供三人の全てを失うが、今は知る由もない。