隠居の独り言(752)

明後日アメリカ大統領バラク・オバマが来日する。初の黒人大統領として当選し
世界の脚光を浴びたのは周知の通りだがオバマの少年時代は両親の離婚や複雑な
家族関係の苦労も多く人種間の偏見の中でゼロから叩き上げの大統領だが、方や
出迎えの日本の首相の鳩山由紀夫は、祖父の鳩山一郎を始め華麗な一族の出身で
苦労人とボンボンとの出会いは果たして心が通じ合うのだろうか。今の段階での
日米同盟の懸案は二つ、インド洋での補給支援の打ち切りという民主党の判断は
アメリカ、ひいてはテロと戦う諸国にとって日本への失望は測り知れず同盟間の
空洞化という危機を作っている気がしてならない。政府は対案としてアフガンの
民生を援助するというが具体的な話を聞いたことが無い。アフガンはタリバン
復活し多国籍軍の死者も1000人を超えている。そんな危険なところに日本人が
出かけて民生支援をしようと考えている政府に何が出来るというのだろうか。
インド洋での補給支援のほうが、よほど安全で各国からも歓迎されているのに
わざわざ変える根拠が分からない。もう一つ、最大の懸案は米軍普天間飛行場
移設問題を解決しなければならない。しかし鳩山首相は地元の住民の反対機運に
配慮してか結論を先送りしようとしている。米軍普天間移設問題は15年も前に
名護市に移設し、合わせて沖縄駐留海兵隊一部と家族をグアムに移転する計画を
日米両国政府が合意している。国家間の外交による合意は国際約束であり、例え
政権が変わろうとも合意を覆すのは彼我ばかりか世界の信頼を失墜するばかりだ。
先日、来日した米国ゲーツ国防長官は自衛隊栄誉礼や晩餐会を拒否したという。
日米安保締結以来かつて無かったこの異例の出来事を決して軽視するべきでない。
鳩山首相はじめ民主党議員に申し上げたいのは昭和初期にそれまで仲の良かった
米英と摩擦を起こし、やがて破滅に向かった現代史をもっと参考にして欲しい。
オバマ大統領が笑顔で離日する姿を見たいものと切に願う。