隠居の独り言(774)

大河ドラマ「竜馬伝」も早くも第四回で視聴率も高そうだが、今のところ幕末の
複雑な政治史が出てこないのは、一昨年の「篤姫」のホームドラマ式に仕上げた
手法で柳の木の下を狙っている気がしないでもない。竜馬(福山雅治)は藩から
15ヶ月間の国暇を許されて、溝渕広乃丞(ピエール瀧)と共に江戸へ出かけるが
道中二人は東海道を悠々と下駄で闊歩して旅を楽しんだという。なぜなら国では
郷士で下駄を履くのは禁止だったので身分制度を忘れて思いっきり羽を伸ばした
気分だったに違いない。出立は3月中旬で約一ヶ月の旅は気候も良い時期で梅や
桜の花の盛りの東海道の春は竜馬にとって開放感と将来の夢はいかほどだったか
想像に難くない。大人に脱皮して何もかもが目新しく映った竜馬の気分と活躍の
原点はこの旅の道中から得たものと思う。この辺りの竜馬をドラマで描きたい。
当時の江戸は参勤交代の地方からの武士達と定着している市井の庶民を合わせて
約100万人で世界有数の人口を誇っていた。生まれて初めての長い道中で江戸に
着いた竜馬は江戸三大道場の一つ、北辰一刀流の千葉道場「玄武館」へ入門する。
道場へ入ると早速、道場の娘・佐那(貫地谷しほり)が竜馬に腕試しを願い出る。
手合わせをすると女の剣士といえ佐那の素早い太刀さばきで打ち込まれた竜馬は
江戸の剣術のすごさに驚かされる。とにかく剣術修行に明け暮れめきめきと腕を
上げていき両親は安心するが姉の乙女(寺島しのぶ)は「世の中を見なさい」と
手紙で諌める。長州藩士・桂小五郎谷原章介)との出会いは、このあたりだが
将来、薩長連合という大芝居を演じる役目の相手とは、まだ知るよしも無かった。
かたや土佐に留まった弥太郎(香川照之)は知識の豊富を生かして学問塾を開く。
そこへ加尾(広末涼子)が入門してくる。喜ぶ弥太郎・・