隠居の独り言(813)

企業の大半の今年の3月期決算の発表が出揃ったが、最終利益が昨年より大幅に
改善され好調な世界経済の回復で輸出産業を中心に予想を上回ったと伝えている。
一方で国内産業はデフレ直撃で内需が頼みの企業は厳しい現実を突きつけられた。
自動車、電機、精密、機械等々が良い反面、建設、繊維、不動産、小売業などが
減益で、企業業績の二極化がますます進んでいる現実を数字で見せつけられた。
内需でも自動車や電器等はエコポイントの優遇措置があり需要を喚起しているが
賛否両論もあり期限立法なのでき税引き期限後の先行き不透明なのが気にかかる。
帝国データバンクによれば2009年度の倒産件数は約13,000件と、ここ数年では
小康状態が続いている数だが、倒産という明確な形で定義されない企業の消滅は
水面下では相当に進行しているらしい。企業活動を停止し既に実体の無い状態を
指す休眠会社や廃業企業が、登記上でも消滅した「解散」などで調査結果からは
倒産を上回る深刻な状況が浮き彫りになっている。不景気のうえ所謂、構造的な
不況の荒波は容赦なく零細企業を直撃している。構造的とは中国や発展途上国
安い人件費を求めて工場の移転や安価な輸入品の増加だが先端技術の流出も伴う。
ひとたび流出したものは戻らない。不況とデフレの悪循環は流通の川上にあたる
製造業から川下の小売業まで、賃金の下げ止まりの先行きが見えない状態が続く。
今の世の職業はサラリーマンが主だが、今までの日本の繁栄を支えた先端技術は
こつこつと物作りの磨きをする技術、つまり匠の技巧の根っこは職人の腕であり
日本は技術立国が国是なのに職人は安い工賃であえいでいる現状を知って欲しい。
主な原因は仕事や技術が外国に流出し、政治的な支援も無ければ二代目の子供も
後を継がず、いまや絶滅の危機に瀕していると言っていいだろう。政治家は農業、
漁業、林業の一次産業に援助の手を差し伸べているが、豊かさの肝心要の源流は
個々の職人の技術であることを忘れてはならない!技術力なくて国の将来は無い!
ピント外れの、ばら撒き税金の無駄遣いに怒りを覚える!