怪談の夏

harimaya2010-08-09

下田の磯に河童岩がある。古老の話では
深夜になると踊り出て人を攫うという。
クーラーも扇風機も無かった子供の頃の
寝苦しい夏の夜は暗い蚊帳の中の布団で
祖母が怖〜い怪談話を聞かせてくれた。
四谷怪談牡丹灯篭、などの講談話から
河童、天狗、狐、一つ目小僧のお化けは
今に思えば他愛の無いものだが子供心に
背筋が寒くなった蚊帳の中が懐かしい。昔の怪談は突き詰めれば男女の愛憎ものだが
最近の怪談は各地で続々と判明する高齢者の所在不明の話で、もしかして三途の川を
渡った人が、この世で年金暮らしをしている怖〜い話しは、架空の怪談物語ではない。
社会の仕組みの変化と人情味が薄れたのが最大の要因だろう。昔を言っても詮無いが
あの頃の社会環境は近所の向こう三軒両隣の互いの信頼感が普段の生活であったのに
今はアパートやマンションに住む人が多く「隣は何をする人ぞ」の地域の触れ合いの
希薄さが独居老人の悲劇を物語っている。これは、けっして他人事とは思えない!