隠居の独り言(861)

地下700mの三途の川の向こう岸から生還したチリの勇士達に世界中が見守り
歓喜した落盤救出劇はハッピーエンドに終わったが、この事故がチリでなく
中国やロシアの全体主義国家だったらどうなっていたか?中国の炭鉱事故で
命を落とした人達は報道によれば年間2000人以上とかだが未発表を含めると
実態はよく分からない。かつて毛沢東は戦争で勝つためなら中国人民の数億が
命を落としてもかまわない、と言ったそうで共産国の人命軽視が見え隠れする。
戦後日本人をシベリアへ拉致して数万人を死亡させた蛮行国家ロシアの場合も
15年前に北極海で115人が乗っていた潜水艦が事故で沈没し乗務員の生存が
確認できたのに外国からの救助申し立てにも原潜の国家機密を優先させて断り
事故後10日も経ってイギリスの救助隊が潜ったが間に合わなかった悲劇がある。
改めて人命の尊さ、自由社会に生きる幸せをこの事件は教えてくれた気がする。
チリにも人種間や貧富の差のひどさなど問題は多々あっても、自由社会制度の
何が一番幸せか、それは何度も仕切り直しが出来ることではないか、たとえば
炭鉱の仕事が嫌なら別の職業に就くために努力すればいいし道はいっぱいある。
この事件は日本人にとって地球の裏側のチリという国の存在を知っただけでも
収穫が大きい。多くの人はチリのことを詳しく知らないのでいい機会になった。
チリはアンデス山脈と太平洋に挟まれた南北に細長い国だが、豊かな大自然
世界にも類がないほどの迫力ある景観が魅了し、鉱物資源は他を寄せ付けない。
友人に以前首都サンチャゴに赴任した方がいるが風土、景色、気候、民意など
暮らしの良さは忘れられないという。地球儀を見れば日本とも太平洋を隔てて
隣国に位置する。陽気なチリの人達に拍手を送りたい!