山吹

harimaya2011-05-18

五月の野山には黄色い山吹が咲き誇っている。
可憐な花は今の季節を代表するようで好きだ。
その昔、初めて江戸に城郭を作ったとされる
太田道灌が、ある日鷹狩の帰りに俄雨に遭い
貧しい農家で蓑を貸して貰えぬかと尋ねたら
少女が出て蓑でなく一輪の山吹の花を出した。
花の意も分からず道灌は怒って城に帰ったが
その夜に近臣がそれを聞いて、後拾遺集から
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき」という歌を詠い
少女は蓑一つ無い貧しさを山吹に例えたのではないでしょうかと言ったという。
驚いた道灌は己の不明を恥じこの日を境に住民の貧しさを知り政治に精進した。
有名な「道灌と山吹」の逸話は太田道灌の心強さと優しいまなざしが忍ばれる。
ここ日光田母沢御用邸公園の庭園では山吹の他に山ツツジ、石楠花、牡丹の
花々が爽やかな皐月の風にそよいで季節を楽しんでいるようだった。