都電

harimaya2011-06-13

上京したころの戦後の東京の風景は
高い建物は無く着いた浅草橋駅から
浅草松屋のビルだけが遠望できたし
街を歩く人の服装は野暮な国民服に
モンペ姿のおばさんが闊歩していた。
それでも大通りは都電やバスが走り
都民の足の交通機関は整っていた。
都電は発車時に運転手が右手の紐を
引っ張りチンチンの合図で動きだす。
それも人が歩くくらいのスピードで東京の街の姿に溶け込んだレトロな乗り物で
今に思えば時の流れも都電に似た速度だった。休日に東京に残る唯一の荒川線で
昔を思い出しながら乗り心地を楽しんだ。この時期は線路に沿って薔薇が咲いて
初夏の歳時記を添えているが乗客の雰囲気にも下町の人情味と懐かしさを覚えた。