隠居の独り言(962)

親戚が福島市郊外にあるが今まで季節ごとに新鮮な野菜や果物を送っていただいて
美味しく賞味させてもらった。野菜は自家用に栽培されたものなので形の不揃いや
虫の食べた跡もあったがスーパーの野菜とは一味違った土の香りの美味さがある。
ところが3,11で親戚の家は被害が被り野菜どころではなくなったが先日の電話で
「今年も夏野菜を送りたいが放射能が怖くて」との話で今までの習慣が無くなった。
最近の放射能汚染の肉について福島産牛肉は市場から消えたが野菜や果物も同じで
福島産と記されるだけで消費者から敬遠されるのは悲しい。地図を見れば福島県
三つの地域に分かれ太平洋海沿いの「浜通り」と阿武隈山脈を隔てた「中通り」と
奥羽山脈を隔てた「会津」の地域で一つの県を構成している。地政学的にも風土も
伝統もまるで違う三地域が明治の廃藩置県戊辰戦争の敗者側の三つの藩が強引に
一緒にさせられたのが現在でも尾を引いている(注・兵庫県も同様にさせられた)
浜通りにある福島原発放射能飛散は悲劇だが汚染の調査はもっと緻密にすべきで
海に面した福島、宮城、茨城の太平洋地域と山を隔てた福島山間部の食の安全性を
同様に論ずべきは適当でないと思う。それに市場に出回る野菜類はハウス物が多く
福島県で生産されたという理由だけで食産物を十把一絡げに放射能汚染扱いするのは
毎日それを食している福島県民の気持ちはいかばかりか?県民の不安を察したい。
被災地の復興はなによりも地域の産業の振興だが農業や畜産が主産業の福島県
助けるために政府の援助や配慮とマスメディアの福島産への広報にも期待している。
自分にとり第二の故郷の福島の復興を願わずにいられない。そして再び前のように
手作りの福島産の野菜が送られてくる日を待っている。