虫の音

harimaya2011-09-14

季節の移ろいは正直なもので昼の気温は高くても
朝夕がすっかり涼しくなった。蝉の合唱団も去り
公園の夏の喧騒が聞こえなくなったのは淋しいが
鳴きしきる虫の音は蝉からこおろぎに選手交代で
庭の片隅からときどき囁くように聞こえてくる。
日本人は虫の音を左脳でも聞く数少ない民族だが
外人には単なるノイズとしか聞こえない虫の音を
歌のように聞く日本人の聴覚の感性が素晴らしい。
日本語は大きく高く響くのを(おと)と言い、小さく低く忍ぶのを(ね)と呼んで
大和言葉の繊細な美しい調和の世界を作り上げ小さな虫の声も優しい言葉で紡いだ。
秋空に群れ飛ぶトンボも間もなくやってくるだろう。一年で最も好きな季節を想う。