隠居の独り言(1065)

Trio Amistadが、男性はレモン色のシャツにコルバタ(メキシコの蝶ネクタイ)と
テンガロン風パナマ帽に衣替え、女性は刺繍の綺麗な真紅のドレスにチェンジした。
季節ごとにコスチュームを変えているが、これがまたライブならではのたのしみで
派手な衣装に身をやつし舞台に立てばスター気分にもなり演奏にも大いに影響する。
「馬子にも衣装」の言葉がある。古びた衣も新しいものに着替えれば馬引きだって
格好良く見える譬えとされるが、これは外見の持つ言い得た言葉として捉えられる。
「人間は見た目じゃない。内面が大事。内面で勝負してこそ真の人間」との意見も
確かに内面は大切で、でも同じくらい、いやそれ以上に人を見る目の外見は大切だ。
また内面を秀でさせるには、それなりの意思と鍛錬と年月を要して容易じゃないが
それに比べ外面を替える事はいとも簡単、しかも内面も伴って充実感に満ちてくる。
とくにライブの時は他人の視線を意識して演奏することが大切で孔雀の雄のように
色鮮やかな羽根で観客の目を引き寄せ、演奏の聴く耳を満足して頂ければ大成功だ。
Trio Amistadはギターの弾き語りの三人組で歌と楽器を同時に演奏するバンドだが
女声1人、男声2人のボーカル(歌詞はスペイン語)と、レキント、ギター、ベースの
高音から低音まで幅広い音域と超技巧の美しいレキントの音色が売りになっている。
エストロの適切な指導で弛まざる練習と新しい曲作りの努力はいつも欠かせない。
ライブは譜面を見ながらではサマにならない。観客に直に聴いていただくためには
曲を完璧に覚えるのが肝要で譜面に視線を落していたらお客様に歌心は伝わらない。
熱心に聴いて下さる方、ラテンをこよなく愛していられる方、レキントのファンの方、
お客様の中にはダンスをする方や手拍子をする方もいらして会場が一体となるには
演奏を楽しむ余裕が不可避になる。といって最初の頃は間違わないようそれだけで
頭がいっぱいだったが何度も実績を積み重ねる回数の馴れは貴重で最近はお客様に
見られているという意識のなかで、いい意味でのナルシズムを持てたと感じている。
トリオのレパートリーも徐々に増え、ますますラテンの魅力に嵌っていく昨今だが
こうして臆面もなく年甲斐のない恰好をしながら恋の歌を熱唱している不良老人は
大きな心の財産を頂いている。ライブは楽しい、そしてコスチュームも楽しい!