御宿海岸

harimaya2012-09-19

♪月の砂漠をはるばると旅の駱駝が行きました・・
大正昭和に一世を風靡した画家であり詩人でもあった
加藤まさおは御宿の海辺をこよなく愛していたという。
遥かなアラビアのロマンを御宿の白い砂浜に見立てて
叙情的に詠った「月の砂漠」の詩はたちまち日本人の
心情を捉えて愛され歌われ継がれて現在に至っている。
そんな情緒を求めて仲間達と初秋の御宿海岸を訪れた。
海水浴場で賑わった夏の御宿も今は波が戯れるだけだが
遠くを眺めれば太平洋の遥か彼方にアメリカ大陸がある。
400年の昔にメキシコへ向け航行中のスペイン船がここ御宿で暴風雨に遭い座礁した。
乗員300余名の殆どが海に投げ出され疲労と寒さと恐怖のため瀕死同然だった彼らを
村民たちは浜へ出て救出し或いは自らの身で冷えた体を暖め或いは、なけなしの食糧を
遭難者に与えたという。そして幕府も船を作って遭難者を遠くメキシコへ帰還させた。
そんな遠い昔の美談も今は何事も無かったように海岸の大波小波が打ち寄せては返る。
小高い丘の上には日西墨友好の記念塔が御宿の海を見下ろしていた。