蕎麦の花

harimaya2012-10-01

残暑もやわらいで関東平野の初秋の風景を求めてドライブした。
ここ栃木県鹿沼では蕎麦畑に白い蕎麦の花が一斉に咲いている。
蕎麦好きの自分にとって新蕎麦が出回る季節はこたえられない。
昔の江戸っ子も蕎麦が大好きだったらしく古典落語の演目にも
蕎麦を取り上げたものが多いのは、よほど好きだったのだろう。
中でも自分のお好みは「時そば」で話のテンポの良さが面白い。
蕎麦を食べ終わった男が料金を払う時「おい親父、あいにくと、
細けえ銭しか持ってねえ。落としちゃいけねえ手ぇ出してくれ」と
親父の掌に銭を一枚一枚数えながらテンポ良く乗せていく。ひい、ふう、みい、よう、
いつ、むう、なな、やあ、と数えたところで今なんどきで?と時刻を尋ねる。主人が
「へい、ここのつで」と答えると間髪入れずに、とう、十一、十二、十三、十四、十五、
十六、ご馳走様、と続けて数え上げ、すぐに店を去る。つまり代金の1文をごまかした。
1文ごまかす知恵と演技は何文に値するかは咄家の芸にかかっている。