隠居の独り言(1150)

東京は桜の開花宣言が発表され一週間が過ぎたが、桜前線の北上は福島県会津地方に
達しただろうか。NHK大河ドラマ「八重のさくら」が咲くころに鶴ヶ城を訪れたいが
今年は大河の影響で混雑が予想されるらしい。今週の題の「蛤御門の戦い」は幕末史で
ピークの絶頂の場面の連続だろう。1860年代の京都では、公家やそれに連なる各藩の
風評が乱れ飛び権謀術数はどれが本物か、偽の情報か、区別を付けるのも難しかった。
数年前に京都御所を見学し帰りに蛤御門を訪れたことがある。現在は御所西門の一つで
あの激戦が嘘のように静かに佇んでいるが門柱に当時の弾跡や刀傷が残っているのは
蛤御門の戦の激しさを偲ばせる。門を潜ると京都御苑の砂利敷の広い苑路と築地塀
芝生と松林で構成された美しい景観は、御所を中心として公卿の屋敷が建ち並ぶ当時の
様子が目に浮かぶようだ。豊かな自然と歴史に恵まれた御苑内を散策したがこの場所で
戦いが行われたなんて嘘のようだが、歴史の必然性と不思議さを垣間見ることが出来る。
蛤御門の戦いとは、前年の8月18日の政変により京都を追放されていた長州藩勢力が
会津藩主・京都守護職松平容保綾野剛)らの排除を目指して挙兵し京都市中において
市街戦を繰り広げた事件で京都市中も戦火により約3万戸を焼失させてしまっている。
会津・薩摩の連合軍により長州は破れ、来島又兵衛久坂玄瑞入江九一寺島忠三郎
等々の優秀な人物を失ってしまう。その恨みの連鎖の深い遺恨は今も影響があるという。
ドラマは1864(元治元)年7月、長州が洛中へ向けて兵を進め禁門の変(蛤御門の戦い)の
火蓋が切られる。蛤御門では御所に向け銃を放つ長州に対し覚馬(西島秀俊)ら鉄砲隊が
応戦する。長州の勢いに押され慶喜(小泉孝太郎)や容保が率いる幕府軍は劣勢になるが
そこへ西郷吉之助(吉川晃司)が率いる薩摩藩の鉄砲隊が現れて一気に形勢逆転となる。
一方、会津では八重(綾瀬はるか)が、開戦の直前に覚馬からの手紙で勧められた尚之助
(長谷川博己)との縁談に心悩ませていた。八重はずっと兄のように慕ってきた尚之助と
夫婦になることに戸惑いを隠せずにはいられない。