都電

harimaya2013-05-20

上京した頃の東京では多くの都電が走っていた。
当時は車も少なく荷物を運ぶ大八車や人力車が
道を往来していた。その道に都電の線路があり
空の上には蜘蛛の巣のように電線が走っていた。
運転手の他に車掌がいて切符に鋏を入れていた。
それが車社会になると都電は邪魔者扱いにされ
道に沿った線路が一つ消え、二つ消え、今では
三ノ輪橋から早稲田までの荒川線一本になった。
発車の時に運転手が紐を引っ張りチンチンと鳴らすのもレトロな気分になってくるし
街の中の風景に溶け込んで、のんびり走る身近な都電の乗り心地に気持ちが癒される。
この季節、線路に沿って薔薇の花が咲いている。薔薇と都電とのコラボレーションは
一幅の絵のように初夏の都会の風物詩になっている。道路の車と共存して走るエコの
都電をどうして廃止してしまったのか?実に勿体ない。昭和の風景がここに残っている。