隠居の独り言(1173)

「これ以上ない気分です。でもこれ以上に疲れている」世界の頂上から届いた声が、この上ない充実感を伝えていた。
三浦雄一郎が80歳でエベレスト登頂を宣言したのは昨年10月。それから二回の心臓手術を受け階段を少し上っても
息が切れた。その僅か半年後に標高8848mの世界最高峰にたどり着いた。孫に「お爺ちゃん」と呼ばれるのが嫌で
スキー競技のスーパーGをもじってスーパー爺、と呼ばせた。また「目標の無いのは心の老いの始まり」と語ったが
同い年の胸に充分に響く。超人には及ばないが自分も生きる指標と目標だけは三浦雄一郎に負けないよう頑張りたい。
彼のように尊敬され期待される老人像でなくても自分なりの原則に従ってしがらみのモラルを捨て不良老人を目指す。
不良老人とは何も悪いことをすることでない。老い先は短くても未だ人生の一部分であり時間を充分に活用しないと
有限の人生が勿体ない。老人は自分中心になる人が多いが妻とは適当に仲良く道楽部分を拡大するのが活力源になる。
齢に関係なく「夢中になるもの」を持つのが幸せの秘訣と思い込んでいる。所属するラテンバンドのメンバーたちと
練習やライブへと向かう気持ちが遊び心をくすぐる。その辺りはエベレストに登頂した「スーパー爺」と同じ気分だ。
今月から来月にかけてのライブ予定があるので綿密な練習にメンバーは余念がない。バンドは昨年までのトリオから
カルテットの編成になり歌と楽器のハーモニーの重厚感は体が痺れるように感じる。優れた技と音楽性を持ち合わせる
メンバーの気持ちが一致するのは必須だが、それぞれが信頼しあい尊敬の念を持ちあわせているカルテットは心強い。
現在の切なる思いはいつまでも今の仲間で音楽を続けたい。ラテンの情熱の歌の数々を青春の気分で演奏できるのは
心身が若返るだけでなく替えがたい至福の時間に感謝している。それだけにメンバーみんなのこれからの健康を願う。
健康あっての音楽は言うまでもない。ラテンバンド「カルテット花火」は花火のように燃えている。