隠居の独り言(1202)

NHK大河ドラマ「八重の桜」は「西南戦争」だが日本の国内で最後の内戦といわれる
西南戦争の因果関係が未だ分からないことが多すぎる。明治維新の最大功労者は
西郷隆盛(吉川晃司)であり西郷なくして維新は在り得なかったといっても過言でない。
でもその功労者が、なぜ朝敵の汚名まで着せられて鹿児島の山中で51年の生涯を
終えねばならなかったのか。西南戦争の表向きでの原因とされたのは「征韓論」だが
中立的立場だった西郷が韓国に使節には賛成でも強硬論者に担ぎ上げられてしまう。
明治新政府は最大の難関といわれた廃藩置県を行い徴兵令、廃刀令、断髪令などと
次々に実行された。反面、名誉の刀を奪われ、マゲも切らされた士族たちの気持ちは
如何ばかりであったろう。こうした旧士族の怒りが各地で燃え上がったのが佐賀の乱
肥後勤皇党の神風連、福岡の秋月の乱が起きた。いっぽう韓国から外交拒否させる。
一旦閣議で決定されていた西郷の対韓交渉は取り消されてしまったと同様になって
失望し所謂「征韓論」に敗れた西郷は大久保利通徳重聡)や木戸孝允及川光博)と
袂を分かち、参議の職を辞して故郷鹿児島に下野してしまう。陸軍少将になっていた
桐野利秋篠原国幹ら約600名が西郷の人柄を慕い鹿児島に戻っていった。しかし
所詮は内乱であり圧倒的な政府軍によって明治10年(1877)9月に鎮圧されてしまう。
西南戦争は最大かつ最後の士族反乱であった。政府はこの反乱を乗り切って権力の
基礎を確立したといえる。また巨額の西南戦費支出はインフレーションを引き起こし
日本の資本主義を推し進めた側面も見落としてはならない。ドラマは、この年の2月、
八重(綾瀬はるか)は新島襄(オダギリジョー)と一緒に新築された同志社英学校で
様々な備品の準備に追われていた。そのころ薩摩は西郷隆盛配下の不平士族らの
決起を止められずに挙兵。「西南戦争」の幕が切って落とされる。政府軍に仕官した
山川浩(玉山鉄二)や警視庁の佐川官兵衛(中村獅童)や藤田五郎(降谷建志)も参戦し
激戦地・田原坂で進退窮まり政府軍の大山巌(反町隆史)は官兵衛と藤田を抜刀隊に
選抜して従兄弟である西郷に戦いを挑む・・やがて西郷は敗れ内戦に終わりを告げる。
その翌年には重鎮の大久保利通も暗殺され新旧の交代が加速し文明開化が花開く。