セピア色の恋

harimaya2014-03-24

早春の播磨では空高く雲雀が囀っている。
ピーチクパーチク雲雀は空にこだまするが
声は聞こえども姿が見えない。西洋では
雲雀の囀りは初恋のようだと表現される。
姿よりも綺麗な声に魅せられたのだろう。
学校の帰り道、遠回りして田圃の畦道を
雲雀を聞きながら歩く若いカップルがいた。
中学三年の時、生まれて初めて恋をした。
自分は卒業後に故郷を離れる立場だが上京を数日後に控え写真屋の娘の彼女は
ご両親にお願いして二人の記念写真を撮ってもらった。その時以来、会っていない。
初恋はセピア色に褪せてしまったが、思い出は65年経った今も新鮮に脳裏を蘇る。
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ かなしき」 太田道灌
山吹には一重咲きと八重咲きがあるが八重は実がならないという。実らぬ恋だった。