隠居の独り言(1290)

戦後70年も経つのにロシアと中国は未だ対日戦勝記念をやっているしフランスでは
ノルマンディ上陸作戦記念日が催される。戦争をした世代の人の殆どが鬼籍なのに
なぜ今なのか。先の大戦は連合軍が圧倒的な戦力をもって枢軸軍の日本とドイツを
徹底的に壊滅し、戦後は弱い者いじめで賠償と謝罪を繰り返させ未だ足りないらしい。
周知の通り日本は戦前、日独伊三ヶ国同盟を結び特にドイツ人に一目を置いていた。
戦前、日本はドイツが親友でありアメリカは憎き敵だった。少年はドイツナチスの旗印、
ハーケンクロイツの卐逆鉤十字のマークに憧れを持ちデザインに惚れた純粋さだった。
ドイツ軍のスタイルの特徴のある制服も鉄兜も長靴など今でも格好いいと思っている。
現代でこそナチスドイツは悪魔的存在で聞くも話すも禁句的だが、歴史を紐解けば、
ナチスが出現した当時のドイツは、世界大戦敗戦による莫大な賠償金と超インフレで
苦しんでいた。インフレはドイツの物価が1兆倍以上になるという今では信じられない
数字だったので当然にドイツ国民の預貯金は全てを失ったことになる。戦勝国側でも
アメリカの金融恐慌と米英仏のブロック経済が進んでいたためにナチスを立ち上げた
ヒトラーは対抗のため東欧諸国とブロックを組んでドイツを救おうとして国民に受けた。
ドイツにとって生きるために止むにやまれぬ選択であった。悪いのはヒトラーではない。
一方、ユダヤ人は祖国なき民だから財産を全額ドイツマルクで貯金する愚は犯さない。
さらにユダヤ人はドイツマルクの下落を見通して先物を売って大きな利益を得ていた。
ユダヤ人には当然の経済行為だが貯金の全てを失ったドイツ国民には許し難かった。
在独ユダヤ人も儲けたお金をドイツに税として納めていれば歴史も変わっていたろう。
こうしたドイツ国民の絶望、復讐、嫉妬感情を組織化したのがナチスヒトラーだった。
1933年(自分の生まれた年)ドイツ国民の圧倒的な支持でナチスは総選挙に勝った。
若き日に画家を志したアドルフ・ヒトラーだって心底はそんな悪い人でなかったはずだ。
彼が好きだったフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」やパドゥアの「レダの白鳥」など
透明な水が流れてくるような美的感覚に溢れているし、音楽もワグナーの作品を愛し
ニュルンベルクのマイスタージンガー」の荘厳な楽劇などを日々楽しんでいたという。
今では一方的にナチスドイツを悪者にしているが、常に歴史は勝者によって語られる。
けれどヒトラーと同時代のスターリン毛沢東共産主義の醜い冷酷な権力競争で
何千万人を粛清し、ナチスの残虐の比じゃない。トルーマンは日本にホロコースト
原爆を投下した。戦後にもポルポト金日成フセインカダフィ等、悪人がいっぱいだ
そしてA級戦犯とやらで東条英機や日本の指導者は戦争犯罪人として命を絶たれた。
本当の戦争犯罪人は誰か、どちらが悪者なのか、何世紀後の歴史家の判断を見たい。