隠居の独り言(1310)

また八月がめぐってくる。敗戦のあの夏の日から70年もの歳月が過ぎたかと思うと
言いようのない虚しさが心に込めてくる。過ぎていった時間、変りゆく事象、一つとして
留まることなく、色褪せていく。敗戦のあの日の天皇のラジオの声を聞いた日本人は
どれほど残っているだろうか。「遅く生まれた恩寵」という言葉がドイツ人にあるという。
ナチスドイツがヨーロッパで戦争の猛威を振るい、あげくユダヤ人の迫害・絶滅などを
強行したヒトラーの政策に間に合わなかった世代をいうらしい。ヒトラーが政権を握る
1933年→1945年までの第二次世界戦争当時に男盛りだった連合軍、枢軸軍双方の
軍人の殆どが既に鬼籍に入ってしまって、今では歴史の世界だが、その申し子である
昭和一桁の世代あたりが、負の遺産を背負い、戦争終結から一世紀近くになるのに
孫や子の代まで、未だに戦争の傷跡をほじくられるのは実に理不尽というべきだろう。
これは強者が弱者に対しての人間の本能的な卑しいイジメの心としかいいようがない。
戦争をしたのは曽祖父や祖父の代であって生きている子供孫には関係がないはずで
まるで親の借金を子供が背負っているようだ。アメリカ・オバマは戦後1961年生まれ、
中国・習近平は1953年生まれ、韓国・朴槿惠は1952生まれ、ドイツ・メルケル
1954年生まれ、日本・安倍晋三も1954年生まれで、今の世界のリーダーの殆どが
先の世界大戦の体験がないのに未だに国連は当時の連合軍(米英仏露中)構成を
続けて安保理という拒否権で自分たちの都合がいいように世界を牛耳っているのは
大国主義の君臨としかいいようがない。核保有がいい例で、核は安保理の五カ国で
保有する権限の理由はどこにあるのか。戦後の大国主義は昔の植民地主義とどこが
違うのか、小国はアメリカや中国に首脳が参勤交代して保護下に入れてもらわないと
経済面も政治面でも生きていけないが戦後の米ソ冷戦時代から米中大国主義になる。
北朝鮮を擁護する気はさらさらないが彼の国が核実験をしたとき内心やったと思った。
拉致や民の飢餓は論外だが、外交的に世界にそんな国のひとつやふたつ有っていい。
戦後、朝鮮半島を大国は勝手に2分割し半世紀以上過ぎたのに元に戻そうとしない。
アメリカと敵対し中国に逆らい韓国を脅す、見方によっては大国主義への挑戦だろう。
特に中韓に言いたいのは日本から経済面や技術力を欲しいため、いつまでも過去の
戦争のことを引き合いに出すのは、いい加減止めて欲しい。でないと未来が開けない。