隠居の独り言(1456)

今年も終わりに近く新聞やテレビで今年の10大ニュースなど報道する時期になった。
今年のトップに上げられたのはパリのテロ事件だが元を質せば第一世界大戦に辿る。
20世紀初めにセルビアという小さな国の一人の青年が当時の超大国オーストリア
皇太子を暗殺したのが発端で、セルビアが僅か数日で捻り潰されて終わりと思ったが
結局は5年に亘る世界大戦に発展してしまう。そして戦後に、負けたオスマントルコ
勝った側のイギリス、フランスが、サイクス・ピコ協定というトルコの領土の変更を行い、
住民無視で勝手に線引きしたのが後々の遺恨になった。それまでの中近東一帯には
イスラムの従来の伝統や民族の関わりで平和に暮らしていた。当時、国という概念は
ヨーロッパ人の持つもので領土的観念と相まって中近東地域に今のシリア、イラク
パレスチナ、バルカン等々に分割される。そこに砂漠に石油が発見されたことから、
国家間の欲望や宗教問題が入り混じって中近東は戦国時代の様相を呈し今に至る。
宗教問題はやがてナチスドイツの出現に繋がり、どこの国も、どこの国民も戦争など、
やる気なかったのに、結局、第二次戦争に繋がった。大戦の副産物で核兵器ができ、
それは人類滅亡で戦争は不可能と思ったはずなのに地域の通常戦争は無くならない。
言葉は正義だの、神の教えだのと勝手な名目で縄張りや領土を拡大しようとすれば
確実に戦争の種が撒かれるのは当然だし、最近の中国の覇権主義も相当に危険だ。
日本は島国で歴史的に多民族から侵略を防げたが現代は呑気なことは許されない。
憲法9条で他国と戦争しないと謳っても外国に通じない。ヨーロッパ近代史を見れば、
ベルギーが先の大戦前に永世中立を宣言していたが中立無視し侵攻したドイツ軍が
「他国の法律は我々に関係ない」とベルギーに言った。周辺国が守ってくれて始めて
中立国が成り立つ。スイスも永世中立国を宣言しているが国民皆兵制を敷き自国は
自分で守り他国を寄せ付けない。憲法9条のお題目を唱えても近隣諸国は知らぬ顔。
9条を大に唱えても、ロシア、韓国、中国は侵略しているではないか。北の拉致問題
独立国家としての国防体制を整えなければ北朝鮮のような無法国家と対決できない。
拉致を解決するには改憲して北に対し拉致問題で宣戦布告も辞さない覚悟が必要だ。
集団的自衛権も大事だ。1億総活躍社会時代もいいだろう。でも拉致された人たちを
救い出せない国家の資格が無い。世界はそんなに甘くないことを我々は知るべきだ。
戦争は誰でも嫌いに決まっている。先の戦争の悲劇は二度と繰り返してはならない。
それは憲法9条を変えること、守りを完璧にすること、同盟国アメリカと仲良くすること、
戦争の惨めさを体験した一人の日本人として考える。