隠居の独り言(1570)

今更でないけれど、歳老いてからの三つの幸せは「1健康 2経済 3家族」に尽きる。
健康と経済は、ある程度の努力と時間が必要だけれど家族は人生の流れでしかない。
幸いなるかな、自分は二人の娘と六人の孫がいて自宅と会社の両方に孫たちがいる。
二人の娘は結婚で嫁に行ったはずなのに、実際的に自分の不動産で生活をしている。
そのような状態で計らずしも三世代が一緒に暮らせる幸せを得たことに爺婆としては、
とても喜んでいる。昔は大家族で暮すのが普通だったが、戦後の核家族化の風潮で
少人数の家族が多くなって、それぞれ離れていったが果たしてこれでいいのだろうか。
自分が育み人間を形成された祖父母からの縦軸が途絶えて家族の絆も消えてしまう。
僅か一世紀前まで、人は大家族で暮らし生き方や感受性を心と体で感じて成長した。
以前の家族の長(おさ)は知恵者で偉かった。人生観、価値観を先代から学ぶことが
先祖代々の美風であり、しきたりだった。しかし昨今のネット社会は老人を愚者にして
家族観が変わった。若ければいいというものではない。せめて老人も経験を語りたい。
長年培った家族の伝統の良さを若者に伝えたい。人間味の基本は育てられた環境だ。
誰も、歳を取るにつけ体も弱っていく。昔は元気だったのに70を過ぎたら少し頼りない。
家族は年寄りを見て守ってあげたいと思うだろう。80過ぎたら物忘れが多くなっていく。
90過ぎたら歩くとき手を引いてあげなければ・・伝承する人情味は生活から生まれる。
爺からすれば、孫が赤子のときオシメを取り換え、子守唄を歌う。公園で一緒に遊ぶ。
やがて塾の送り・孫との交流は成人まで続く。生きる価値、命の愛おしさは言葉でなく
体験と実感から得るものと思う。