隠居の独り言(1571)

唯我独尊のトランプ劇場は様々影響多々だが、要するにトランプ大統領の個人的な
好き嫌いの感情が先走り大きな世界観に欠ける。最も影響が受けるのは宗教だろう。
アメリカの大統領宣誓のとき、必ず聖書に手を置いて4年の国政を誓うのが習わしだ。
つまりアメリカはキリスト教が国教で他の宗教にあまり重きを置いていないことになる。
トランプがイスラム教に対して敵視するのはアメリカという国家ではむしろ当然なのか。
その点、日本は宗教に対してあまり拘らない人の多いことが平和の証しで治安もいい。
世界を見渡しても、このように穏やかな宗教観を持つ人種は日本人特有のものだろう。
この日本人的観念の基は、6世紀に活躍した聖徳太子に遡る。聖徳太子は僅か19歳で
推古天皇の摂政として現代の首相にあたる地位を得たが、この時代の最大の問題は
外交と宗教で、当時の宗教は仏教の伝来が大きな課題だが、日本古来の神々を祀る
神道が主流だったが聖徳太子が摂政になると両方を受け付けるという方針を定めた。
ただし新しい宗教を受け入れても幹は神道なり、と神々への敬神の詔を出され収めた。
しかしこれが日本人の宗教観に大きく寄与したことは言うまでもない。例えば、お寺の
名前は○○山○○寺だが、○○山は神を呼称したものであり、仏教は神の基に宿る。
聖徳太子によって古来の神々も受け入れ、仏教やその他の宗教も大切にするという
日本人の心に大きく沁みついて現代に受け継がれている。初詣は神社、結婚は教会、
祭礼は神社、葬式は仏教、バレンタインやクリスマスも自然に受け入れるおおらかさ。
何世紀にも語り継がれてきたこと自体、日本人には大事であった価値観がそこにある。
海外では、かつて十字軍は自らが信じるキリスト教が一番正しいと他国を攻め武力で
改宗させ従わなければ虐殺も厭わなかった。キリストもイスラムユダヤもヒンズーも
排他的であり、人間の愚かさは救いようがないのだろうか。日本を見習ってほしい。