長寿社会 その五

ボクには好きな人がいます。え、浮気?そうではありません。秘めた愛しの人ですが、恋の感情を持ち、尊敬もしています。老いた身には路線変更不可能ですが、それで充分なのです。人は何歳まで恋できるのか。繁殖期が決まっている動物はほとんどが、その時期を終えると急速に衰えて、死を迎える。しかし人間はその後も長く生き、かつ異性を求める気持ちが死ぬまで持続する動物との差はどこから来ているのだろうか。そもそも恋愛の基本は本能であり、自分の子孫を残したい。しかもより良い形で・・これが恋の原動力は言うまでもない。書物によれば人間の場合、女性は一般的に10歳前後で脳の視床下部といわれる部位で性腺刺激ホルモンという物質が分泌され、これに刺激され脳下垂体からの物質で思春期に入る。つまり卵巣が成熟されて、排卵が起こり生理が始まるわけで、やがて恋心が生まれ、大人になり恋愛、妊娠、出産、子育ての女性としての役割を果たす。しかし50代になると女性ホルモンが分泌されなくなって生殖機能も終わりになり閉経という劇的な変化があるが男性も女性と同年配辺りで確実に生殖能力が衰えていく。つまり身体的には恋の季節は終末を迎える時期がある。サケの排卵後の姿を見るまでもなく、動物は生殖後には死が待っているが、人間にはそれから老化がやってきてその後も長く生き、子孫を残すのは不可能でも恋をする。老いての恋は脳の偏桃体が様々な情報を価値判断して信号を送って自律神経系のホルモン分泌を活発化させ感情を刺激する。好きな人に会うと、どきどきするのも自律神経と心臓が連携して活発になるらしい。それは脳に快い信号であり、気持ちに張りが生まれて若返る。生殖と切り離された恋愛、最も人間らしい純愛と思う。中高年&老人よ、恋をしよう!