長寿社会 その十一

働く人は必ず定年がくる。これは会社の戦力外通知に当る。今は定年が65歳になったが歳取れば体力も能力も落ちて社員はポンコツ化する。それに終身雇用制では高給だから、経営者は退職金払っても体よくお払い箱にするのは当然だ。定年制の始まりは1887年に海軍の火薬製造所が55歳の定年を設けたのが最初とされるが、明治時代の平均寿命は40歳半ばだから死ぬまで働くのを前提に定年を設定された。今は平均寿命、男で81歳、定年から16年も長く楽しめる。でも定年は会社から月給という金の切れ目が縁の切れ目で、いわばポイ捨ての吸い殻で今後は年金で暮らさねばならぬ。歳を取っての幸福度の四原則は健康、経済、家族、希望で、その一つも欠けると老後の幸福度は薄いものになってしまう。健康は言うまでもないが、禁煙はもとより、酒の量を減らす。腹八分目、間食なし。運動は一日5000歩、睡眠6−7時間かたくなに生活習慣を変えない事。これを守っていればOK。人間の体は上手く使えば丈夫に出来ているので実行しよう。経済については定年後は年金以外入る見込みがないので若い時から習慣的に「入りを図りて出を制す」を徹底すべし・本の書くところによれば近未来に9割が下流化になるらしい。若い時は実感ないが生きる以上「生老病死」は逃れられない。人生百年の設計を怠っては老後に惨めな生活が待っている。中には定年後に「悠々自適」に暮らすと宣言する人もいるが、それは収入が無くも食べていける資産家であり滅多にいない。定年になって最初のうちは満員電車の窓に頬っぺたをくっつけ難行から解放されたと思うと嬉しいが、その気分もすぐ消える。厄介なのは長い歳月の生活習慣は簡単に消えるものでなく、今後は24時間、老夫婦だけで暮らすのは退屈で辛いと思う。提案したいのは、今まで奥さまが毎日していた家事一般を亭主が引き受けること、最初は上手くなくても徐々に要領が分かってくると面白いと感じてくる。戦国時代の織田信長は料理の腕も天下一品で、親しき大名たちに馳走したという。