長寿社会 その十三

最近は北朝鮮の問題もあって憲法問題が激しいが、憲法は一般的道徳や宗教的な聖典でなく日本国民の生命と財産を守るため実用的な方便に過ぎない。戦後の現憲法を制定した作者にだけ将来が見えるはずなく、時代の要請に合わせて憲法の文言を変えるのは当然であり1947年5月3日に施行された憲法を70年近く金科玉条のように守る融通の無さは世界でも珍しいだろう。その中でも憲法9条は主旨からし自衛隊憲法違反で自衛隊という軍隊を違反のまま維持していること自体おかしなものと思う。災害、戦争といった身を守る時、組織の助けが必要なのに憲法は謳っていない。家族や友人が誰かに暴行された場合、それを助ける目的で、攻撃者に反撃の過剰防衛でない限り正当防衛が認められない。当然の集団的自衛権の権利は国家レベルになると許されない憲法に疑問を持たないのか。他人の喧嘩に巻き込まれるのは嫌だから知らん顔すればいいという憲法9条は国際社会にそぐわないのは常識だ。先の敗戦で日本が再び立ち上がれないよう定められたが今では日本がG7にも加えられる大国になって久しいが、だからこそ「自分さえよければいい」は通用しない。江戸時代のように鎖国するなら今の憲法でいいだろう。2015年に「安保法可決」の過程で学生団体シールズの活動が大きくクローズアップされデモで「反アベ」を叫びマスメディアも一部の大人も一緒になって喜んでいたが論理や筋道なくその時の感情や雰囲気だけで流される日本人の特徴が表れている。憲法にモノ言いたいならデモをする前に具体的な憲法論を明らかにしたうえで理由は何かをはっきりと示す必要があって然るべきだ。「アベが嫌い」「安保は戦争法案」だとの感情論だけで行動を起こすには却って危険性が潜んでいると思う。安倍首相が憲法改正を任期中に成したいと言っても反対は「立憲国家への反逆」「本質を無視した暴挙」等々のたまわく。しかも作家の大江健三郎氏はじめ東大教授など錚々たる人物だから何をか言わんや。反対派はイザというときにアメリカが助けてくれると思っているのだろうか。来たる東京直下地震などの緊急時に自衛隊が対処すると思っているのだろうか。反対するなら世界の情勢、日本の事情をきちんとした議論を聞かせていただきたい。何でも護憲ありきでなく、具体的に反対理由を分かり易く国民に知らせるべきで感情論だけで世間は通らない。そのうえで憲法を考えたい。