長寿社会 その十四

月曜日が待ち遠しい。と書くとお前はそんなに仕事が好きなのかと言われそうだが、それとはまるで反対で、休日は普段と生活が変わるので体の調子も変わる。八十過ぎると年毎にスタミナ減少し仕事欲も無くなる。健康診断でどんな良くてもスタミナは数値に出ないが老化現象が現実的になっていくのは仕方ないだろう。わが家の近くに安田学園があり隣には安田庭園がある。創立者は明治時代に一代で安田財閥を興し両替人からやがて、安田銀行(富士銀行)を創立した安田善次郎で、東大安田講堂日比谷公会堂を寄付したのも有名だが、富山の下級武士の倅が、時の実力者として成したのは質素を旨とした二宮尊徳の「分限論」を実行したことで二宮尊徳は江戸時代に小田原藩はじめ多くの農村を立て直した功労者だが思想の根本が「分限論」にある。分限とは定められた節約で、国には国の、家には家の分限があり、分相応な暮らしをする。収入が少なくても少ないなりに分限を定め余裕が生じても決まりは守る。分度を謹んで余財を生ぜしめ、生きた金として選べば余財は日々生じて、個人も家も国も富むことができる。尊徳にしても善次郎にしても要は天引き貯金の奨励でお金の有難みを謙虚に捉えて無駄遣いを戒めている。少子高齢化が進むと今までの老人優遇はありえない。だからこそ若者は未来の設計と実行に勤しんで欲しい。若い時分は遊びに夢中で、金銭感覚には疎いけれど人生は「生老病死」老いや病は絶対に避けられない。と言って吝嗇になるのはいけない。使うべきところに惜しみなく使う。老いても予期せぬ出費が襲ってくる。例えが良くないが、東日本大震災で土地や家を失ってそれでも立ち直りの早遅の違いは経済力の差であり貯蓄、資産がいかに大切か、老いて知る実感となる。老後の生活は少しの資産を有して、質素に暮らす・・「長寿社会」も一段落。ありがとうございました。  了。