隠居の独り言 2

ファンだった西城秀樹さんが脳梗塞で遂に帰らぬ人となった。若い頃は憧れた女優・星百合子さんは肺がんで亡くなった。日本人の三大死因はガン、脳疾患、心臓病と言われているが、続いての訃報は女優・朝丘雪路さんがアルツハイマーのため亡くなった。忘れてならないのは認知に伴う病気が蔓延していることで、先日の新聞報道によれば認知症アルツハイマーに罹ったり或いは似た症状の人が約800万人とかでその多さに驚いた。ボクも人のことは言えない。最近は物忘れがひどくなっていく。先日風呂の中で昔の童謡が懐かしくなり気分よく歌っていた。♪菜の花畑に入日薄れ 見渡す山の端 霞深し・・ところが歌いながら気が付いた。あれ?この歌の題名はなんだっけ?全て忘却の彼方。子供の頃学校で覚えた尋常小学唱歌は何百回となく歌って歌詞の方は浮かんでも題名は出てこない。しかも、文語体なので、あの頃は意味も分からず歌っていた。「箱根の山は天下の剣」「春高楼の花の宴」「甍の波と雲の波」「さ霧消ゆる湊江の」・・けれど歳取るほどに思い出せなくなる。「埴生の宿」ってどんな宿なの?「卯の花」ってどんな花だっけ・「庭の千草」と聞いて白菊とばかり思っていたら色々な秋草を総合したものらしい。戦前と違って今の音楽の教科書からは難しい詞の歌は消えてしまったが言葉を知る意味で勿体ない。日本語の深みある言葉の情感は自然に身に付くと思うが・脳医学者、養老孟司さんの説では人間の脳内にある記憶を司る部屋では収納能力には限度があって歳を重ねてくると新しいものが入ってくると、その分がはみ出してしまうらしい。その際に意外に幼年時代がしぶとく残って忘れないそうだ。老人ホーム慰問演奏の時など、老人が子供の頃に還って童謡や尋常小学唱歌が好まれるのは昔の原風景が蘇って自然に脳が刺激を受け啓発されて元気が戻ってくるらしい。「音楽療法」の一つで自分も楽しんで、そしてお年寄りにも喜んでいただく、こんな「いい遊び」が出来る介護は嬉しい。日本人の三大死因はガン、心疾患、脳卒中だが、それらも医学の進歩で近未来克服できる。いかし未だ遅々なのは認知症、とくにアルツハイマーは原因、治療法も未解決だ。