隠居の独り言 17 

わが家の近くに回転寿司の美味しい店が出来て山の神とときどき食べにいっている。回転寿司の仕掛けはうまい事考えたものだと前にも書いたので置くとして箸を取りながら思うのは安い値段で食べられる寿司のネタの獲れた産地、加工、流通のことを考える。例えば、エビは東南アジアの養殖池で生産され関連工場で労働賃金の安い女工さんが頭や殻を取り、皮を剥いて、すぐ食べられる状態で日本に輸入されているが、中身は全部輸出した後のエビの殻だけ焼いて食べるらしいが、日本人の傲慢さを知る思いがする。もっとも栄養学的には殻はカリシウムが一杯なのが救いだ。閑話休題。今や世界における死亡原因一位は飢えだという。現在、世界ではおよそ8億7千万人が飢餓に苦しんでいる。世界の飢餓人口の65%は7つの国で、インド、中国、コンゴバングラデシュインドネシアパキスタンエチオピアだが飢餓人口の人数が最も多いのはインドで2億1700万人、次いで中国の1億5800万人、この2国だけで世界全体の飢餓人口の44%を占める計算になる。驚きを禁じ得ない。ボクが子供の頃の魚屋では魚一匹そのままを売っていて家で包丁捌きをしたものだ。台所には出刃から細身まで包丁が何本かあり、母が魚に合わせて調理をしていた。母は鰻を裂くのが得意で子供たちが近所の川や海辺で獲った鰻を上手に捌いて蒲焼にして食べた思い出は今も蘇って美味しかったことと家族団らんは忘れない。今の若いお母さんは魚に包丁を入れることなく原型も知らないだろう。スーパーや魚屋では既に刺身になりそのままオーブンに入れれば美味しい焼き魚になる。便利なのはいいが、これでいいのかなぁといつも思う。変な勘繰りと心配をするボクが時代遅れなのだろうか。回転寿司でつまみながら、食の幸せをつくづく感じた。