隠居の独り言 26

北方領土の返還の道筋は暗闇の中に入って以前見えてこない。21回目となった安倍首相とプーチン大統領との首脳会談でも「新しいアプローチ」とか「平和条約に向け両者は前進する」とか、抽象的な言葉だけで、北方四島返還の「ヘ」の字も出ない上に海産物の養殖や農産物の温室栽培の話ばかりなのが気になる。プーチン大統領は記者会見の大半を経済関係に費やしている。要するにロシアは領土返還する気持ちが無いことを知るべきで領土問題の進展が無ければ、安倍首相は席を蹴るべきだろう。戦前、千島樺太が日本だった事を覚えている人は今となっては日本人の中でも少なくなってしまった。その昔オホーツク海は日本の内海のようで漁業開発は日本人自ら行われ世界有数の最も豊かな資源に恵まれた地域だった。教科書の日本地図では千島列島、日本列島、琉球列島が美しい玉暖簾のように模って芸術作品を見るようだった。それが本来の日本の姿でなければ日本ではないと思う。千島樺太は縄文の昔からアイヌ人が住み外来人が住んだ形跡は無い。つまり日本列島は日本人伝来の土地で平和に暮らしていた。縄文の人を無残に蹴散らしたのはつい最近の昭和20年にロシア(ソ連)が日本との不可侵条約を一方的に破棄して攻め入り、不法占拠して、現在に至っている。戦争に負けると云うのは実に情けないものでお前は泥棒野郎、不法者と叫んでも、勝ったソ連は戦利品として日本人の捕虜を奴隷として極寒のシベリアで働かせ50万人以上を死亡させた。戦後の領土不拡大の規定まで無視して日本から千島樺太の全部を強奪する悪辣ぶりで、戦後の日ロ関係は、ノドにトゲが刺さったままになって、その原因と結果全てがロシア側にある。同じ戦勝国アメリカは戦後占領した沖縄、小笠原の島々を全て返還している。国は違っても人間の気持ちは変わらない。当たり前だがアメリカは信義的にも素晴らしいことをしたと思う。そんなロシアと仲良く付き合えるだろうか。