隠居の独り言 44

世の中は景気がいいという。現実にサラリーマンが貰う夏のボーナスは史上最高で、会社の決算報告も概して増収増益で黒字幅は上昇して株主にも配当金も増して株主優待も多くなり安定した長期の株主に応えている。個人株主が5000万人超えた報道も、一日の売買数も3兆円を超えた日もあったから、これは本物といえる。と言って、この景気が一般の生活には反映した実感が湧かないのは何故だろう。今は格差社会という言葉が、しきりに聞かれるようになり以前ほど実生活が平等でなくなった、との思いを持つ人が多くなったのも事実だ。たしかに自動車、電機、精密など世界的にも日本勢が上位を占めているが産業と国際競争力の弱い産業では差があり、高度成長期の船団方式は通用しなくなった。一部上場された大会社と、中小の格差は益々広がる。それにともない家庭別での収入の格差も大きくなって、世論調査によると2018年3月の時点で貧富格差が広がっていると感じている庶民は8割を超えている。消費動向も高級ブランド品がとても好調で、かたやディスカウント店に客が多いのはこの状況を物語る。しかし格差社会は本当にいけないものなのだろうか。頑張った人が高収入を得られるのは当然だという認識の背景に法人税所得税の税率が下げられ、物品税の税率が上げられる傾向とは、そこにある。高所得者の子供は早くから高額の教育費をかけて塾通いで、学校自体の格差が付き始めているのは現実だが、スタートラインが違うのも教育格差であり、これは政治に大きな責任があるのを感じて欲しい。世間は競争社会、日教組が牛耳る公立学校では良い教育が出来ないのをどうして知ろうとしないか。これは将来の就職に関わる問題なので政治家も両親も生徒も真剣に考えないと大きな禍根を残す。昨今のモラルの低下と治安の悪化は格差社会の結果であり、政治もその辺りを見つめて欲しい。