隠居の独り言 68

大阪富田林署から逃走した男は未だに捕まらないようだが、犯人も若い女を狙った、ひったくりや強姦など相当なワルだ。最近の凶悪犯罪は自己中心的で通行人からお金や物品を強奪するのが通常のようになってきているが日本人の心も随分と堕ちたものと思う。今、池波正太郎の」「鬼平犯科帳を再読しているが、当時の闇の中にいた多数の盗賊たちにも「盗人にも三分の理」があって盗まれて難儀する家に入らず強引に盗まない、殺さない、女を犯さないの三か条の掟あり、主人公鬼平も悪党の種類によって立ち向かう姿勢が違って、その辺りの按排はとても良い「鬼平犯科帳」シリーズであり、テレビの長谷川平蔵演ずる歌舞伎俳優の中村吉右衛門も格好良かったし、日本人の心根を存分に描いた傑作だった。無論なかには畜生ばたらき、急ぎばたらきなど許しがたい残虐な悪党もいたけれど、それでも彼らは育った環境や困窮の末の切羽詰った犯行が多く、根っからの悪人像は時代小説のフィクションの世界といえども、感じられない。池波さんだって小説のモデルは存命中の世相の中での日本人を書いたはずで、もし今ご存命で、執筆されたら「鬼平犯科帳」はどの様な人物と物語になってのか。日本史に精通され、日本人の心を知りつくし、人情話の数々の時代本を書かれた池波さんも平成の世になってこんな酷くなっていたとは思いもよらなかったに違いない。短絡的殺人、幼児虐待、強盗殺人、婦女暴行、老人詐欺、最近の犯行の悪質と日常茶飯事のよう多発する昨今はこれが日本人のDNAを受け継ぐ人のやったことなのか、それとも異人種が入り込んだ治安の悪化のせいなのか、どこで違ってしまったのか、日本人特有の人情味が薄れ、思いたくないが、世相は確実に悪化が進んでいる。