隠居の独り言 149

日々電車通勤をしている。千代田線・綾瀬から湯島まで乗り、湯島から外を歩いて大江戸線上野御徒町から両国駅まで、総計約40-50分の時間を掛けて会社に着く。有難いことに綾瀬から始発があるので優先席に座って本がゆっくり読める。座れない日や途中で身障者や妊婦に席を譲る時もあるので100%じゃない。しかし優先席で丈夫な若者が占拠しスマホに夢中で中には寝たふりで老人、障害者、妊婦が前に立っても知らんふりに腹が立つ。余計なお節介だがこの若者を育てた親の顔を見たい。教育勅語で育った昭和一桁生まれからは日本の社会も品格を失った。今は戦前教育が否定気味だが、目上を尊ぶ日本人特有の儒教的精神はどこへいったのか。「おもてなし」と口先で言っても実際と随分かけ離れている。儒教は日本伝統の美学で後輩たちにも継いでほしいと願う。車中で立っても電車の宙吊り広告に目を遣り世間の情報の面白いのが多く芸能ニュースや三面記事、スポーツ界など世相の話題に事欠かない。ボクは野次馬的な目から車中の老若男女の品定めも楽しめる。この人は随分疲れているなぁ、昨晩呑みすぎだ。この二人は恋人なのかなぁ、密着しすぎる。この人の身なりはいいが漫画ばかり読んでいるのはどうか。夫婦子供が座っている。三人スマホに夢中で会話ないのは先が思いやられる。それにしても奥さんは和服美人だなぁ、悪いけど旦那と超不釣り合いなのは余程の資産家なのか。大きなお世話だがいろいろ他人様を想像するのも楽しみだ。帰りは違ったコースにしている。総武線で両国から新小岩、次にバスに30分ほど乗る。座ってタブレットYoutubeを最近仕入れたイヤホンで好きな音楽を聴く至福タイムだ。以前は車通勤20分程度の距離だが、健康の歩くために電車通勤に切り替えた。駅のエスカレーターやエレベータもできるだけ利用しないで自分の足で昇り降りをしている。車の運転は時間的に早いが道路ばかりで視野も狭くなる。その点も歩くのがいい。そのせいか、随分体が軽くなった。仕事にも電車を利用する。ふと気付いたのは路線によって、都心と郊外、山の手と下町、多摩川、荒川、隅田川を挟んで乗客の服装、風体、立ち居振る舞い、話し方が違う気がする。なかでも地下鉄銀座線の乗客の雰囲気がいい。とくに女性、お洒落な洋服を着てスカートを履いているかたを多く見る。同じ東京23区内でも場所によって多少の違いがあるのは地域の特徴だろう。そんな小さな発見もボケ防止に有効と、老い先短い爺は考える。