隠居の独り言 172

パンとサーカス」という格言がある。古代ローマの世相を揶揄した言葉で、無償でパン=食糧とサーカス=娯楽を与え庶民を政治的盲目にした。世界史上で最大の帝国、古代ローマも時が経つほどに様々な矛盾を抱え始める。今の社会福祉政策をイメージさせるが、あくまで支給は庶民の権利でなく、為政者による恩寵と理解されていた。この政策で働くのをやめた怠け者と、懸命に働いた人に貧富の格差ができ、ローマ帝国末期には国庫が極端に窮乏し底をついた14世紀末の記録が残されているが、1500年近く続いたローマ帝国はこうして滅びていった。どこかの国に似ている。施政者は庶民には選挙のため歓心をそそるようなことを言い、インフラ・社会保障など赤字国債を発行し続け天文学的な1000兆円に達した。そして間もなくやってくる2025年問題。約800万人いる団塊の世代(1947〜49年生れ)が75歳(後期高齢者)を迎える年で、現在1600万人程度の後期高齢者人口は、その頃には約2200万人まで膨れ上がり、日本人人口の4人に1人が後期高齢者との超高齢化社会となる計算で、少子高齢化社会のピークに達する。そして、65歳以上の高齢者のうち認知症高齢者で自宅以外は未開の地となる生活自立度?以上の高齢者は2018年で300万人なのに2025年には470万人と急増することを予測しているという。今後さらに人口が減少し総人口に占める高齢者の割合が増加するなか、年金、医療等の社会保障を維持するのは非常に厳しいと言える。団塊の世代が75歳以上になる2025年に今の年金制度が残っていたとしても支給金額の大幅な減少があり、支給年齢の引き上げなど年金制度が崩壊寸前の状況になっている可能性が極めて高いだろう。どうすればいいのだろうか。今の60-65歳の定年制廃止。年金受給は70歳からにして、それまで現在の現場で働く。健康寿命が延びている現状で、企業に対し現役時代から社員の健康作りを支援することで企業も営業成績が上がり医療費や後期高齢者支援金などの社会保障コストを抑える「健康経営」の推進がこれから益々求められているといえる。頑張ろう。団塊世代の諸君!!