テロと嫉妬心

G8サミットを狙ったテロは宗教戦争の構図を描いているような要素が多いが、
犯行がイスラム急進派のビンラーディンの仲間とすれば彼らの信条と復讐心は
一人勝ちのアメリカ、浸透したキリスト文化への羨望と嫉妬心にほかならない。
かつてイラクフセインが捕らえられたときテロは収まるかと思った人もいたが
彼は世俗の実力者で、宗教色の濃いテロとの戦いには影響はほとんど無かった。
今はビンラーディンの所在を追及しているが、あのようなカリスマ的な人物の
生死の如何が重要で「生きて」いるからこそ正義のもとにテロ実行者は行動する。
つまりカリスマが話したから「正義」なので、そのほかの理由なんて何も無い。
人は多かれ少なかれ誰もが嫉妬心を持っている。スケールの大小の違いだけだ。
作家の田辺聖子さんは「女の嫉妬心なんてかわいいもので男の嫉妬心からみたら
話しにならない」といわれたが、歴史的にも戦国時代の織田信長石田三成
明治の江藤新平大久保利通など権力を持ちすぎて周辺の嫉妬を買い抹殺される。
日本ほど嫉妬に敏感な国民性は世界でも珍しく、例えば天皇家に権威はあっても
権力はなく何千年に亘って日本の権力者たちは、いかに国民の嫉妬心を削ぐために
苦心したか歩んだ道が証明している。藤原、源平、足利、徳川など実権は握っても
決して天皇家は滅ぼさなかった。鎌倉幕府の北条家などはわざわざ公卿をカタチの
将軍にして自らは執権として臨んだ。これらは全て嫉妬の怖さを知る防衛策だった。
世界の歴史は宗教の権威と世俗の実力者が一元化して争った戦いの道程そのものだ。
つまり黒白はっきりしないと気がすまない。なぁなぁの多頭政治は世界に通用しない。
日本が戦争に負けたときアメリカ兵一人にも復讐しなかったし、中国と仲が悪くても
五星紅旗を焼いたのは一人もいない。中韓反日運動は嫉妬心の表れそのものだが
日本の誇りは、歴史の長い間の嫉妬の軋轢が人間性にも熟成されたのかもしれない。
テロとの戦いはビンラーディンを捕らえて嫉妬心を抹殺することだ。