隠居の独り言(708)

8年前2001年の梅雨時に医師から前立腺ガンの宣告を受けた。数ヶ月前に病院で
「小水の出具合はどうですか?」「そういえば出るまでに多少時間が掛かります」
医者は、それでは検査をしましょう。最初に行なわれた事は血液を抜かれPSA
前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーの数値が分かる検査のため報告を待った。
前立腺は言うまでもなく男性特有の臓器で、大きさとカタチは丹波の山栗に似て
重さ約25グラムと小さいが泌尿と生殖を兼ねた男性器なので重要度は頗る高い。
二週間後に報告されたPSA値は14で、正常値3未満と大きくかけ離れた数値は
不審船のいる確率が非常に高く大学病院で精密検査をするようにと告げられた。
G大学病院・泌尿器科で、ガンか否かを検査するバイオプシ(生検)を受けたが
あれは瞬間的だが痛さに顔をしかめる。直腸から挿入した超音波検査の機械で
ピストルのような生検針を前立腺に向けて6発を打ち込み栗の右葉と左葉から
組織を採取する。果たせるかな6発のうち4箇所からがガン細胞が発見された。
ガンが見つかってもすぐに治療を始めるわけでない。多くの検査が用意された。
ホルモン系のガンは骨に転移しやすく全身の骨を精査する骨シンチグラフィを
受けたが幸いに陰性、局部のMRIや再度の血液・尿検査、高齢で全身麻酔
手術に耐えられるかどうかの調査、前立腺の下腹部は毛細血管が過密状態で
オペによる出血が相当とかだが、備えあれば憂い無し、800ccの自己血預血も
済ませる。敵に勝つためには敵を知ること!本を読み漁り事情痛にもなった。
オペの当日、ヤマノカミが「若い日の罰が当ったのよ」と憎まれ口をきいたが
男と女のすれ違いは古今東西の鉄則だ。あれから8年、結果よければ全てよし!
今では、仕事に、孫に、音楽に、旅に、罰が当たりそうな人生を楽しんでいる。