隠居の独り言(739)

天高く馬肥ゆる秋、10月に入ると爽涼の日が続き夜もめっきり長くなった。
読書週間には少し早いが、俳句の季語に「燈火親し」があって、好きな本に
読み耽って時の経つのを忘れる。ご挨拶代わりにここまで書いてみたものの
最近は携帯の世になってネコも杓子も浸透し、一般的に本を読まなくなった。
電車に乗れば老いも若きも携帯をパチンと開けて黙々とボタンを押している。
ヒマさえあれば携帯をいじくりまわすのは世間がそれだけ忙しくなったのか。
といって自分も他人様の事を言えない。ケイタイが有っても無くても忙しい。
昼夜を通して、会社の仕事、孫の面倒、趣味さまざま、遅い帰宅は年中行事・・
休日は気分転換で少し遠出をしてトラベルなどを楽しんでいるが、そういえば
自分も読書はいつの頃からしなくなったのだろう。間を見て短編小説は読むが
なかでも藤沢周平の江戸の市井ものが好きで何度読んでも心温まる。長編ものが
しんどいのは歳のせいなのか?報道によると、ここ5年間で5万軒近くの書店が
廃業して町の中で本屋を見つけるのが難しくなったのも時代の流れなのだろう。
読書の習慣が無いと若者の活字離れや正しい言葉遣いが憂慮されるが、読書離れ、
言葉の荒廃、ひいては文化の衰退など、叫ばれて久しいが、政権が変わっても
学校の国語の時間が増えたとは聞かない。それどころか英語の時間を設ける。
文部科学省は何を考えているのか。誰もが英語を話し国際人になるわけでない。
私たちは日本人だ。殆どの人は日本で生まれ、育ち、暮らして生涯を過ごす。
日本人だから、正しい日本語を話し、いいコミュニケーションを共有出来る。
世界でも最も熟したといわれる日本語文化は先人の知恵で完成されたものであり、
粗末にするのは実に勿体ない!外国文化とは全然違うもので大事にしたいもの・・
特に若い人たちよ!読書の秋を満喫してほしい!